建物がどれだけ劣化しているか、欠陥はないか、改修が必要な箇所はどこか、といった点を第三者的な視点でチェックしてもらえることから、素人では気づかない隠れた部分の劣化や欠陥などを知ることができる住宅診断(ホームインスペクション)。
中古住宅だけでなく、新築戸建てやマンション、アパートなども対象となり、近年日本でも浸透しつつあります。
それでは住宅診断を行うべき理由としては、具体的にどのようなことが挙げられるのでしょうか?
新築とは違い、建物の劣化状況が分かりにくく、素人では欠陥に気づきにくいという点で中古住宅に不安を抱く方も多いでしょう。
場合によっては、購入価格は安い反面、いざ住んでみたらリフォームや改修に高額な費用がかかるということもあります。
しかし、購入前に住宅診断を行えばかかる費用を予め知っておくことができ、マイホームの購入で失敗するリスクを避けることも可能です。
売買が成立したあとになって建物に瑕疵が見つかった場合、売り手と買い手の間にトラブルが起こる可能性があります。
中古物件にも新築物件にも瑕疵担保責任というものがあり、売主が責任を負わなければなりません。
中古物件の場合は瑕疵の存在を知ってから1年以内、新築物件の場合は10年以内であれば売主に瑕疵の修復費用を請求することができます。しかし、それを過ぎてしまうと買主に不利な状況となります。
このことから、売主が事前に住宅診断を行うケースも多く、引き渡し後のトラブルを防いだり売却しやすくしたりすることを可能にしています。
日本の新築物件は、20~25年ほど経過すると評価額がゼロになるといわれています。
建物の価値は、建物を再度新築で建てた場合の「再調達価格」から築年数によって減少する「減価額」を引いた値で決まります。
建物の価値は建物の状態でも左右され、悪いと当然下がりますが、メンテナンスが行き届いている物件であれば上がる可能性が高まります。
建物の価値を維持するために、住宅診断を行い、欠陥や劣化を補修することが有効なのです。
また、定期的なメンテナンスによって建物の寿命自体を伸ばすこともできます。
実際に住宅診断を受けた利用者は、多くが利用してよかったという感想を抱いているといいます。
これは住宅診断の必要性を如実に表していると言って良いでしょう。
ここでは、住宅診断を行った事例をご紹介します。
立地や目先の利回りだけに囚われず、購入前に住宅診断を行いました。売却の際にその旨を情報提供した結果、投資用不動産が相場よりも高く売れました。住宅診断を行うと買主とのトラブルも避けられて、両者が安心して取引できます。
新築でマイホームを建ててから20年目、住宅診断を受けてみたら耐震性に問題があることを知りました。いつくるか分からない地震に備えて耐震補強を実施。おかげで安心して長くマイホームに住むことができるようになりました。
家は高い買い物なので、念のため住宅診断を利用してみました。売主さえ気が付かなかった瑕疵を知り、値引きの交渉を行ったものの応じてもらえず、購入をやめることにしました。知らずに購入していたら…と思うと恐ろしいです。