住宅診断は、どのタイミングで利用するのが得策なのかを説明します。
新築物件で住宅診断を行いたい場合は、購入申し込み後の申請がベストです。この購入申し込み後とは、実際に契約をする前の段階ですね。何故ならすでに契約をしてしまった後だと、仮に住宅診断で何らかの欠陥が見つかった場合でも、購入を拒否できないことがあるからです。
万一のことを考え、購入しないという選択肢を残しておくためにも、契約前に実施するとよいでしょう。家を建築中の場合でも、完成後では確認できないようなところ、基礎部分などを重点的に住宅診断を利用するケースもあります。なお、契約前ですから他の方が先に購入契約をされてしまう可能性も否めません。だからこそ、「購入申し込み後」に実施するとよいでしょう。
新築物件の場合、不動産会社が住宅診断を契約前に行うことを拒否するケースもあります。また、建築スケジュールとの兼ね合いで、どうしても契約後にしかできないケースもあるでしょう。そのような場合、売買契約書に「住宅診断で瑕疵が見つかったら、売主の責任で補修する」といった一文を追記してもらうよう確認しましょう。「ここを直したら、ちゃんと買います」という条件をつけておけば安心ですよね。
瑕疵担保責任のつけ忘れは、あらゆる契約の中でも問題が出やすいものです。後からこんなはずではなかった…。なんてことにならないよう、ホームインスペクションのタイミングをきちんと見定めて、売買契約書の中身を確認していきましょう。
中古物件は、すでに完成している建物を購入するのですから、売買契約前に診断すればOK。事前の住宅診断で重大な欠陥が発見されたら、契約を破棄できるというタイミングです。売主が契約前に住宅診断を行うことを拒否した場合、何らかの欠陥が隠れている可能性も否定できません。
住宅診断を契約後でないとできない場合は、契約の際に売主の瑕疵担保責任を求めて、その期間内(一般的には3ヶ月以内)に行うとよいでしょう。また中古物件の購入、売却においてここでは一般消費者同士の売買契約を想定しています。この場合、引き渡しから3か月以上たった後で見つかった不具合(瑕疵)に関して、売り主は責任を負う義務がありません。これらのことも踏まえたうえで、中古物件の住宅診断を行っていきましょう。
リフォームを検討されている場合、建物の内部を確認する機会でもありますから、住宅診断を利用する絶好のタイミングでしょう。とりわけ築年数が経過した家(おおよそ30年以上の家)では、その家の健康状態を確認する意味でも住宅診断が有効です。
劣化の状況や補修しなければならない点をリフォーム計画にも活かせますし、より安全に、より長く住み続けるためにも、検討してみる価値は十二分にあります。
中古住宅の購入を考えている場合、住宅診断は売買契約の前がセオリーです。
売買契約の後での住宅診断の場合、仮に診断で問題点が出ると結局は自己責任になってしまいます。契約前の段階であれば「こういう部分があるので契約を見合わせます」と告げることで、問題のある住宅の購入を防ぐことが可能です。問題がなければ心配することなく、安心して中古住宅の購入ができます。
中には「問題のない家です」とアピールするために、売主側が住宅診断を行っているケースもあるので確認しておきましょう。仲介業者が住宅診断の有無を明確にしていないケースもあるので、中古住宅購入前の段階で細かく聞くことが大切です。
ただし、ケースバイケースでもあります。例えば購入後、リフォームを検討している場合であれば契約締結後であっても良いでしょう。仮に何らかの問題があるとしても、リフォームするので問題の有無はさほど気にする必要がありません。
中には非協力的な業者もいます。多くの不動産業者は協力的ですが、一部不動産業者の中には「自社の物件だから」と住宅診断に応じないところも出てくるかもしれません。この場合、住宅診断は購入後でなければできないのが難点です。どうしても欲しい物件であれば別ですが、問題がある可能性もあるので、そのような不動産業者が保有する中古住宅は避けたほうが良いでしょう。
新築であれば、さほど問題がないと思う人も多いはずです。確かに築年数が短い方が、問題が生じている可能性は低いと言えます。築年数が長い物件であれば診断は必要となりますが、逆に新築であればそこまでデリケートになる必要が無いと考えるのも頷ける話です。
しかし、築年数が短い物件を購入した場合も、診断を受けたほうが後々安心できます。問題点がないと断言できない点より、保証の問題から住宅診断を受けた方が良いケースがあるのがポイントです。新築物件には法律で定められた瑕疵責任だけではなく、独自保証を用意している建設業者も多々あります。築年数の短い「新古住宅」であれば、独自の保証が生きているケースがあるかもしれません。
住宅診断を受けて問題があった場合、保証が適用される可能性もあります。築間もない物件を購入した場合、保証を確認したうえで住宅診断を受けてみるのも良いでしょう。
これまでに一度も住宅診断を受けたことがない物件を購入した場合、「現状の確認」として住宅診断を受けてみるのも良いでしょう。理想は購入契約締結前です。ただし、中には非協力的な不動産業者もいます。その場合は別の物件を検討する、購入してからすぐにでも住宅診断を受けてみるなどで対応するのが良いでしょう。
特に築年数が長い住宅で、住宅診断を受けたことがない場合は経年劣化も含めて何らかの問題が浮上する可能性があります。このような物件もまた、一度住宅診断を受けることで「現状」を把握できるでしょう。
1981年以前に建てられた古い建物は、例え外観が綺麗だとしても住宅診断を受けた方が良いでしょう。
その理由として、1982年に建築基準法が改正されました。耐震基準が変更されたので、法改正前の1981年前に建てられたものは、耐震性が低いのがデメリットです。住宅診断を受けて実際にどの程度の耐震性を持っているのかを確認しておくと良いでしょう。もちろん耐震性だけではなく、実際にどの程度経年劣化しているのかと共に、どれくらいの地震にまで耐えられるのかなども確認しておく必要があります。
不動産契約は、解約が簡単には行えません。一般的な買い物のように、レシートや領収書を持って「返品したい」と告げて簡単に「なかったこと」にできるものではないので、新調に進める必要があります。場合によっては解約そのものができないケースもあるので、契約締結は真剣に考慮しなければなりません。
物件そのものの安全性はもちろん、取引業者の信頼性も大切です。例えば、アフターフォロー・メンテナンスを売りにしている業者がいるとします。「購入後10年は面倒を見る」と謳っているとして、果たして10年後も健在なのかという疑問もあるでしょう。
保証期間内ではあっても、相手業者が倒産してしまった場合、当然ですが保証を受けることはできません。「不都合があったら解約すればよい」と軽く考えるのではなく、むしろ「解約が簡単ではないからこそ真剣に考える」ことが大切です。
不動産の売買契約は、額面だけではなく手数料・手付金など様々な費用が発生します。
例えばホームページや広告などで「2,800万円」と表示されていても、2,800万円あれば購入できるのとは限りません。購入金額に応じた手付金や手数料がかかりますし、仮に金融機関のローンを利用する場合には、ローンに対しての金利や手数料もかかります。
さらに、手数料や手付金は、売りに出されている金額に応じて異なります。例えばローンであれば「借入金額の1%」です。借入金が大きくなればなるほど「1%」が大きくなるので、売りに出されている金額以外にもいろいろとお金がかかる点は覚えておきましょう。
記載されている金額はどこまで含まれているのかをチェックし、もしなければ直接問い合わせるのがおすすめです。細かく答えてくれる業者であれば、その分信頼もしやすいでしょう。
契約書は隅から隅までチェックしましょう。アプリをダウンロードする時、あるいは何らかの会員に入会するとき、契約同意書、入会同意書等は適当に読み流している人は多いでしょう。不動産購入は「嫌なら解約する」が簡単ではありません。
一度契約を締結したら、「聞いていない」「知らなかった」は通用ないので注意してください。契約書に明記されていることは、例えよく見ていないとしても契約書にサインをした時点で「承知した」という意思表示になります。契約書はくまなくチェックし、分からない点や不明な点は必ず問い合わせるようにしましょう。